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ひよこ色のエックス(X) 102

102   片松葉づえのポートレート
 
今日、車椅子を卒業しました。ドアのガラスに写っているのが私であります。ちょっと右に傾いていますが、まだ左の足には3分の2の荷重しかできないからです。
 
自分の怪我と、その回復の過程をゆっくりと時間をかけて、時には眺め時には記録(拙blog)してこられたことを振り返ると感慨深いものがあります。"歩く"ということを、この年になって初めて、心の底からいとおしく思いました。
 
私が歩き初めた時に、歩き方がちょっとおかしいというので個人のお医者様に診てもらったら先天性股関節脱臼ということで、汽車の時代に、夜明けに起きて、父と母が大阪大学病院に通ってくれました。父の月給が7千円の時に、私のギブス代だけで1万円かかったそうです。ギブスを外すとお豆腐のような脚だったそうです。何年も通って、足はなかなかよくならず、母は私を連れて川に飛びこもうと思ったと話したことがありました。
 
脚は脱臼から亜脱臼まで良くしてもらい、成長して結婚をして、生活に追われながら47の時に股関節を人工骨に換える手術を受けました。何度か書いたように、この時は、天下のリハビリの落ちこぼれで、落ちこぼれたことも劇的でしたが、そこからV字回復で歩き出したこともさらに劇的な展開でした。家業や家事や、社会的な立場もあったし、"歩く"ということを見つめるどころか考えることもできなかったように思います。ただ、ドクターが、手術をするのは「痛くないようにすること、良い歩き方をするために、」と3つのことを言われて、そのもう1つ言われたことが思い出せませんが、2番目の「良い歩き方をすること」というのはいつも思い出していました。
 
子どもがつかまり立ちからある瞬間タ・タ・タ・・・と歩きだしたのは感動しました。が、その感動とは全然違います。仮に一歳前後の幼児が初めて歩いた時のことを覚えていたとしても、違うでしょうね。人類が二足歩行をするようになった400万年ほど前ですか、その方が近いかも知れないけれど、果てしなさ過ぎて何のことやら
 
大阪の時に、いつだったか、手術の前だったか、、「走れるようになるかしら?」とドクターに訊ねたら、「小走りくらいならね」という答えが返ってきました。その"小走り"という言葉が好きでしたね。人間的な響きがします
 
ともあれ、こうして歩けるようになって、本当にほんとうに嬉しいです。びっくりさせましたが、応援して下さったみなさんのおかけです。ありがとうございました。
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